小林清親 文明開化の光と影をみつめて
2015年08月15日
練馬区立美術館他 著/青幻舎
~光と影の浮世絵師~
江戸期に活躍した浮世絵師・葛飾北斎、喜多川歌麿、歌川広重などはよく知られていますが、明治期に活躍した小林清(きよ)親(ちか)という浮世絵師をご存じでしょうか。清親は、文明開化が進む東京の風景を、光と影を駆使して情感たっぷりに描いた「光線画」と呼ばれる浮世絵で人気を博しました。それは、西洋の遠近法や明暗、陰影を取り入れ、それまでの浮世絵では描かれなかった水や空の様子、夜景などをリアルに表現したものでした。
本書では、「光線画」と呼ばれた『東京名所図』を中心に、東京や旅先の風景を水彩でスケッチした写生帖、そして晩年に多く描かれた肉筆画など280点を紹介しています。「最後の浮世絵師」とも呼ばれた小林清親の没後100年を記念して刊行されたものです。
(島根日日新聞年6月22日掲載)