酒天童子
2015年09月12日
竹下文子 著/偕成社
~平安時代のヒーロー~
本書は平安時代に実在した人物源頼光を主人公にして、頼光の四天王と呼ばれた渡辺綱、坂田公時、碓井貞光、卜部季貞や、陰陽師の安倍晴明などが登場し、鬼や物の怪たちが引き起こす不可思議な事件を解決していく物語です。渡辺綱が鬼の腕を切り落として持ち帰った話や、古い屋敷に住みついた大蜘蛛を退治する話など、昔話や歌舞伎の演目などでもお馴染みの話が5話収録されています。
『平家物語剣巻』や『御伽草子』など、もとは別々の出典である5つの逸話が、源頼光の視点を通して語られることによって紐付けされ、都を舞台にした一連の出来事として展開していきます。古典の世界観の枠を超え、クールで勇敢なキャラクターたちが物の怪相手に活躍するファンタジー小説です。
(島根日日新聞9月7日掲載)