動物翻訳家
2016年05月05日
片野ゆか 著/集英社
~動物の笑顔が見たい~
コンクリートの壁や鉄格子・・・動物園の思い出は少し切ない? 近年だいぶ様変わりしてきました。環境エンリッチメントとは、管理という観点ではなく、動物福祉の立場から、動物の生態に適した快適な環境を整えることを意味します。本文では、4人の飼育員が動物と心を通わせていく奮闘の様子が描かれています。
動物たちが豊かに感情を表現し、本来持つ素晴らしい能力を発揮していく様は、胸に響きます。なかでも、アフリカハゲコウを拘束なく大空に舞わせるフリーフライトは興味を引きます。鳥が空を飛ぶことは当たり前でしょうか。二度ロスト(脱走)したあとでも、「鳥は飛ぶものです」とイベントの続行を決定したくだりに、改めて動物園の存在意義を思いました。
動物園へ、行きませんか。
(島根日日新聞3月28日掲載)