ぼくらの哀しき超兵器
2016年05月05日
植木不等式 著/岩波書店
~戦争の狂気と「超兵器」~
悲しいことに、人類の歴史は戦争の歴史であり、兵器開発の歴史でもあった。銃砲や爆弾、戦車といった王道の兵器が開発され、戦線に投入される一方で、殺人光線、兵士を無敵にする魔法の水、敵兵の同性愛を促す爆弾といった、珍妙な兵器の開発も、幾度となく繰り返されてきた。そんな発案者の正気を疑うような「超兵器」の数々を、ユーモラスな語り口で紹介したのが本書である。
登場する「超兵器」の多くは、存在自体がひどく滑稽で馬鹿馬鹿しい。しかし現実に「超兵器」を望んだ軍人や、それを作ろうとした科学者がいたという事実は、単なる笑い話で片づけられるものではない。本書は「超兵器」とそれを求める人々の姿を通して、戦争の狂気や異常性を顕わにしているのである。
(島根日日新聞4月4日掲載)