江戸の健康食
2016年07月31日
小泉武夫 著/河出書房新社
~伝統食の知恵再発見~
江戸時代に発行された料理本は、230点にも及ぶといわれます。当時は、薬も医療体制も十分ではなかったため「食」こそが健康と長生きの源と考えられていたようです。
本書は、江戸時代に好まれ、食されていた食品49種と日本酒の記録を古文書から蒐集し、健康効果、食品の歴史、調理の仕方、工夫を解説しています。
漬物......現代でもよく食べられますが、縄文時代には、すでに蔬菜の皮を塩漬けにした記録があるそうです。昔から、味噌、酒粕など変化に富んだ漬け床があり、漬け床で盛んに繁殖した乳酸菌は整腸剤の役割を果たし、健康を維持する効果がありました。現代は、飽食の時代といわれます。
著者は、食材を活かした知恵と工夫の食事こそが、体と心を癒す食事となることに気づいてほしいと語っています。
江戸時代の食の考えが養生の基本であることを教えてくれる一冊です。
(島根日日新聞7月18日掲載)