松平不昧 名物に懸けた大名茶人(郷土)

2018年08月03日

所蔵情報

木塚久仁子 著/宮帯出版社

 ~茶道の世界からみた不昧公~

 松江藩七代藩主松平治郷(はるさと)(号不昧(ふまい))は江戸後期の大名茶人として有名です。治郷は17歳で藩主となり、18歳で初めて茶の湯を学び、その本質を見抜き、20歳で茶の湯批判の書「贅語(むだごと)」を著しました。二十代前半から68歳で没するまでに集めた茶道具は800点以上あります。47歳で完成させた名物記『古今名物類聚』は茶道具を格付・分類した図録で、現代の茶の湯にも大きな影響を与え続けています。
 不昧公の茶の湯が大成されるまでには、学問や禅の師、茶道具屋、茶会の客、松江藩の茶道(さどう)(茶事を司る役)、絵師や塗師・陶工・指物師などの職人、ほか多くの人と交流がありました。不昧公の人柄と茶の湯への情熱が伝わってくる本です。

(島根日日新聞2018年7月30日掲載)