盛口満 著／八坂書房

　～貝殻からのメッセージ～

浜辺でピンクのサクラガイを拾って持ち帰り、小さな瓶に入れて眺めていたことはありませんか？
　著者はそんな少年時代の体験から、「生き物を追い求め続ける」自称「生き物屋」として、貝殻を拾い集めるようになりました。集めた貝を分類・記録し、図鑑を調べ、よく観察し、貝が存在した時代と分布の考察を重ねていき、やがて、貝たちが遭遇した二度の大きな環境の変化に気づきます。
本書の魅力の一つ、著者が自ら描いたイラストからは貝の生命を感じます。また、著者の気づきにつながる、他のユニークな「生き物屋」たちとのやりとりも心に残ります。
　その貝殻がなぜそこにあるのかという謎を解き明かそうとするこの一冊は、貝殻からどのようなメッセージを私達に届けてくれるのでしょうか。

（島根日日新聞　 2018年9月24日掲載）