波うちぎわのシアン(児童)
2018年10月09日
斎藤倫 著・まめふく 画/偕成社
~うそのない想いが響きあう~
ラーラという小さな島にふらりとやってきて、丘の上で診療所を開いたフジ先生。看護師のネイは心配しますが、自分の事を後回しにして、先生は診療所をどんどん拡張していきます。
ある夜、フジ先生は燃える舟の中から赤ちゃんを救出します。そして診療所には保育園が併設され、それがいつの間にか孤児院になり......。助けた赤ちゃんの不思議な力が明らかになると、物語は島から飛び出し、ドキドキハラハラの展開に。
この物語の語り手は、一羽のカモメが診療所に運び込んだ「カモメ」という名の白い猫です。「カモメ」によって、子どもや大人の心細さ・たくましさが、うそのないやさしい言葉で描き出されています。また、フジ先生はじめ、さまざまな登場人物の父性が読み取れる物語でもあります。
(島根日日新聞 2018年10月1日掲載)