「プロレス」という文化(一般)

2019年06月19日

所蔵情報

岡村 正史/ミネルヴァ書房

 プロレスというのは奇妙なスポーツです。明確なストーリーがあり、勝つことよりも観客を喜ばせることが優先され、目的のためなら反則行為すら平然と行われます。スポーツよりも演劇に近いものと言ってしまったほうがいいかもしれません。そして、その特性のために「プロレス」という言葉は、筋の決まった「八百長」の代名詞として使われてきました。
 本書は、そんなプロレスと社会の関係を、興行の演出方法や、プロレスに関する新聞記事、著名人や政治家の発言などから検証し、時に冷静に、時に熱い筆致で論評した一冊。社会からいかがわしいものとして扱われながら、成長と衰退を繰り返して生き残ってきたプロレスの蠱惑的(こわくてき)な世界に足を踏み入れてみませんか?

(島根日日新聞2019年5月27日掲載)