日々はひとつの響き ヴァルザー=クレー詩画集(一般)

2019年10月13日

所蔵情報

ローベルト・ヴァルザー:詩 パウル・クレー:画/平凡社

 ~響きあう絵と詩~

 日本ではあまり知られていませんが、スイスの古典的散文詩人であるローベルト・ヴァルザーと、同じくスイスで独特の世界を作り出した画家パウル・クレー。現実では出会ったことのないふたりが、本の中で出会います。クレーの絵の隣にヴァルザーの詩を並べると、知り合いでないはずのふたりがどうしてこんなにも似通ったものを表現したのだろうと不思議に思うほどです。詩と絵は互いにイメージを膨らませあっています。その一方で製作年代順にクレーの絵の解説を読むと、また違った文脈で絵を捉えることになり、まったく別の絵のようにも思えます。響きあう芸術の不思議と、編集の妙を感じることのできる1冊です。

(島根日日新聞2019年7月22日掲載)