7つの人類化石の物語 古人類界のスターが生まれるまで(一般)

2020年07月03日

所蔵情報

リディア・パイン:著 藤原多伽夫:訳/白揚社

 ~科学界を飛び出した化石たち~

 ルーシーが眠りから覚めて、今年で四十五年。この一文で、誰のことかわかる人も多いでしょう。発見時のエピソードのおかげもあって、エチオピア北部ハダールで発見された、アウストラロピテクス・アファレンシスの全身骨格化石は、"ルーシー"の愛称で、世界中の人々に知られています。しかし、ケニアで発見された同じ種の化石LH4は、分類の基準になる標本ですが、一般的に有名とは言えません。この違い、つまり古人類学上、重要な化石は数多いのに、有名なものがごく少ないのはなぜかということに注目した著者は、七つの化石が文化的に受容される過程を追います。化石がもつ物語を理解することによって、科学と歴史や文化の相互作用を、どう考察すべきか明確になると著者は語ります

(島根日日新聞2020年1月30日掲載)