定本 柳宗民の雑草ノオト 春夏秋 全3巻(一般)
2020年07月03日
柳宗民:著 三品/隆司:画/毎日新聞出版
~民草は人の暮らしに根付いて~
この本のページをめくると、見たことのある草花がやさしい趣の挿画で次々と現れ、どこかなつかしい世界に誘います。
例えば、学校帰りに引き抜いて友達とくすぐりっこをした草の名は「エノコログサ」、別名「ねこじゃらし」。かなりしっかりと根を張るので引き抜くには少し力がいり、その引き抜くときの感覚と、指に小さな傷ができた記憶がよみがえります。昔、重要な穀類であったアワも、この変種の仲間だといいます。
全編にわたり、雑草の名前の由来、品種、特性、人の生活との関わりが、園芸家の著者の日常を切り取りながら解説されていきます。
この一冊があれば、庭の草取りも楽しくなるかもしれません。それとも、草花たちに愛しさを感じて、引っこ抜けなくなるかな?
(島根日日新聞2019年11月25日掲載)