〈奇〉と〈妙〉の江戸文学事典(一般)

2020年07月03日

所蔵情報

長島弘明/文学通信

 ~〈奇妙〉が面白い~

 江戸時代の文学を、有名無名を問わず紹介する本です。1つ1つの作品について、まず概要やあらすじで大枠をつかみ、原文を引用した説明で見どころを知ります。さらに、もっと深く楽しめるポイントの解説があり、関連した本の案内までしてくれます。「事典」という名前がついていますが、調べるというよりも、読んでいるうちに自然と作品の面白さがわかってくるという構成です。
 江戸時代の文学は、喜怒哀楽のすべてが生きている、と編者は言います。一見ばかばかしく見えるものも古典の教養を下敷きにしていたり、怖い話に思えるものも人の情念を表していたり。「まじめにふざける」「怖い?かわいい?」など興味深い見出しが並んでいますので、少しずつ楽しんでみてはいかがでしょうか。

(島根日日新聞2020年2月17日掲載)