地獄の楽しみ方(ジュニア)
2020年07月03日
京極夏彦/講談社
~言葉を使いこなすためには~
著者は、妖怪をモチーフとしたミステリー小説で有名な作家です。言葉を巧みに操って読者を翻弄します。そんな著者が高校生を相手に「言葉」について語った「特別授業」を書籍化した本です。
言葉は人類最大の発明であるが、一方、非常に「欠けた」もの、不完全なものだと、著者は指摘します。それゆえに、SNSは炎上し、争いは起きるのだと。さらには、この世は地獄、地獄を楽しむために、言葉を利用しましょうとも言います。その真意は?
言葉が足りない、言葉が過ぎる、言葉の行き違い...。言葉は非常にリスキーな道具です。言葉で世界は変わらないけれど、人を変えることができます。言葉を使いこなすためのヒントが、この本にあります。
(島根日日新聞2020年3月30日掲載)