入門万葉集(ジュニア)

2020年07月03日

所蔵情報

上野誠/筑摩書房

 ~古代人の美しい心にふれる~

 新元号「令和」の出典が『万葉集』巻五の梅花の歌三十二首の序文にあることは、私たちの記憶に新しいところです。『万葉集』が編まれた奈良時代は、国内では人々が飢饉や疫病で苦しみ、対外関係では唐の権力強大化、新羅との関係悪化、と厳しい時代でした。
 著者は言います。古代人は歌を使って日々の出来事や自分の思いを表現しました。写真のない時代、歌は思い出のつまった写真、歌集はアルバムのようなものであると。
 本書は、梅花の歌を書き下しと訳文で読み解くことから始まります。そして代表的な歌をとりあげ、その美しい言葉にあらわれる、平和を願う気持ち、季節を楽しむ心、生きることの喜び、などにふれながら、私たちを万葉の世界に誘います。

(島根日日新聞2020年4月20日掲載)