モラヴィア美術館：著 阿部賢一・須藤輝彦：訳／河出書房新社

　～裏も表もすべてわかる本～

　本書は、美術館とはどんなところかを紹介した本で、チェコ共和国で二番目の規模を誇るモラヴィア美術館の学芸員が中心になって出版されました。美術館の歴史やさまざまな仕事や展覧会のつくり方などを、ユーモアあふれるイラストを通してわかりやすく伝えています。特に展覧会のつくり方については、現場を知り尽くしているスタッフならではの体験や視点を活かして、作品の入手方法や保管方法、魅惑的な展覧会にするための秘訣など、普段知ることの少ない美術館の裏側まで案内してくれます。この本を読めば、静かに絵画や彫刻を鑑賞するところだけではない美術館の新鮮な魅力に触れることができるでしょう。子どもから大人まで楽しめる一冊です。

（島根日日新聞2020年11月30月掲載）