第三の性「X」への道(一般)

2021年05月19日

所蔵情報

ジェマ・ヒッキー:著 上田 勢子:訳/明石書店

 ~性は自分で決められる~

 敬虔なローマカトリックの家に生まれたジェマは、幼い頃から、「女の子」らしくすることが嫌だった。初恋の相手も女の子。でも、カトリックにおいて同性愛は罪。自らを嫌悪し、セクシュアリティをひた隠しにするが、信頼していた司祭から性的虐待を受けてしまう。異性愛者になろうと必死に努力するも、何も変わらない。自死すら決心したジェマが、様々な人たちと出会い、自らを認め、見つめなおし、選んだ生き方とは。
 私たちは、男か女か、異性愛者か同性愛者かなど、自分自身を含めた個人のアイデンティティを二元化してとらえるよう、社会によって慣らされてきました。自分に対し正直に生きるために、どちらの道も選ばず、新しい道をつくる選択も可能だと、ジェマは提示します。

(島根日日新聞2021年5月3日掲載)