鳥獣戯画のヒミツ(一般)

2021年07月15日

所蔵情報

宮川 禎一/淡交社

 ~擬人化された動物たちの正体~

 日本最古の漫画と言われる国宝『鳥獣人物戯画絵巻』は、甲・乙・丙・丁の全四巻で構成され、特にウサギやカエルが擬人化されている甲巻が有名です。しかし、多くが謎に包まれ「日本美術史上最大の謎」と言われています。
 本書では、甲巻に登場する動物や人物の意図や関係性を仏教の視点から考察し、新たな解釈をします。
 例えば「鹿の背に乗るウサギ」の場面について、唐の僧の見聞を記した『大唐西域記』から解釈します。釈迦が人間を自分の背を超えて渡す話から、鹿を釈迦、ウサギを人間と考え、ウサギは釈迦の最後の弟子を表しているのではないかと推察しています。
 そのほか、「カエル」や「サル」が登場する場面など、そのストーリーや真意を読み解き、鳥獣戯画に込められた秘密に迫る一冊です。

(島根日日新聞2021年7月5日掲載)