金継ぎの技法書(一般)

2023年02月10日

所蔵情報

工藤かおる/誠文堂新光社

~実用書?美術書?

 金継ぎは、壊れた陶磁器を漆で接着して金銀粉で飾りつける日本独特の修理法です。破損の種類には、割れ、欠け、ひびなどがあり、器の素地や形状によっても、漆の種類、配合する粉、道具や修理の過程が微妙に違っています。
 副題に、「基礎から、色漆の活用、見立て、仕上げのテクニックまで」とあるように、細かく順を追った解説で、すぐにでもチャレンジしたくなる優れた実用書です。
 一方で、掲載された写真は美しく、新たに生まれ変わった器だけでなく、ヘラや筆などの道具、金銀粉や漆などの材料でさえも見とれてしまう写真集のようでもあります。
 著者は東京芸術大学漆工芸専攻修了、25年以上金継ぎ教室の講師を務めています。
 美しく直して丁寧に使うことを肯定してくれる一冊です。

(島根日日新聞2022年12月11日掲載)