はるか、ブレーメン(一般)

2023年06月25日

所蔵情報

重松 清/幻冬舎

~最期に見たい思い出は?~

 私たちが人生の最後に見ると言われている思い出の「走馬灯」。そんな走馬灯をテーマにした温かくて、ちょっと変わった物語です。

 「走馬灯の絵師」と呼ばれる謎の肩書を持つ葛城は、人がどんな走馬灯を見るのか分かったり、さらにその走馬灯を描き替えてしまえる不思議な能力を持った男。彼の仕事は、依頼者が死ぬ前に見る走馬灯を本人の望み通りに描き替えることです。ひょんなことから葛城の仕事を手伝うことになった主人公の高校生・遥香は、さまざまな人たちと関わり合い、人生や記憶の奥深さや複雑さに触れながら成長していきます。

 読み終わった後、人生の「本当に大切な思い出」について思わず考えたくなります。

(島根日日新聞2023年6月5日掲載)