あきらめなかった男 大黒屋光太夫の漂流記(子ども)
2024年01月15日
小前亮/静山社
~ロシアを見てきた日本人~
天明二年十二月(西暦一七八三年一月)、神昌丸の船頭である大黒屋光太夫は、伊勢湾の西岸にある港から年貢米や木綿などの船荷を積んで、江戸を目指して出航しました。ところが途中で嵐に遭遇し、帆を失った船は漂流を続け、約七か月後、ようやく北の小さな孤島にたどり着きました。この島に住んでいたロシア人たちと交流するうちに、帰国のためにはロシア本土にいる皇帝エカチェリーナ二世の許可がいることがわかりました。
飢え、寒さ、仲間の死...。過酷な状況に幾度も見舞われ心がくじけそうになりますが、帰国への強い思いは消えませんでした。
史実に基づいた小説です、作者の小前氏は松江市出身で、歴史上の人物を題材にした作品を多く手掛けている作家です。
(島根日日新聞2024年1月15日掲載)