繁田信一／吉川弘文館

～光源氏はなぜ忙しい？～

『源氏物語』の主人公、光源氏はどのような人物か想像できますか？美貌と才覚に恵まれた「恋多き男」、そんなイメージでしょうか。それでは光源氏の生活は？四六時中、女性と過ごしていたのでしょうか？

　『源氏物語』は実は史実と異なる設定で描かれているようです。著者は日記や記録などから、貴族たちの日常生活や仕事を読み解きます。

　貴族とりわけ殿上人は、何をするわけでもなく天皇の近くにいることが立派な仕事でした。そして最も大切な仕事は、天皇の食事の給仕でした。そして著者は光源氏を「太り清げに」「色合ひ実に白く」というような容姿だったと推測します。

　貴族の生活を知ってイメージをふくらませ、『源氏物語』を楽しんでみませんか。

（島根日日新聞2024年6月4日掲載）