作：モニカ・ロー　訳：中井はるの／小学館

～風を切って走り、舞いたい～

車いすユーザーのエミーは、華麗なジャンプを決める車いすモトクロスの選手に憧れている少女です。競技用の高性能な車いすを買うためにオンラインショップを運営し、夢の実現に向けて順調な日々を過ごしていました。

ところが、中学校の校長先生は「エミーのためを思って」専属介助員をつけ、車いすを買うための募金活動を行います。家族や友達の力を借りながらも自立して生きてきたエミーは、一人では何もできないと思われているのではないか、とモヤモヤした思いを抱き始めます。

エミーはスピードと無重力が大好きなごく普通の少女ですが、一方でとても強い意志を持っています。最後に彼女が声を上げ、進みたい道を選び取った瞬間のあまりの恰好よさに、感嘆せずにはいられません。

（島根日日新聞2024年10月7日掲載）