郷土資料ミニ展示コーナー No.13

冨家文書(とびけもんじょ)

冨家は、杵築大社の上官を務めた家で、大社の舞楽・連歌を司っていました。国造北島高孝の子、長孝(清信)が家を起こし、その後上官向家の名跡を継承する形で戦国期に上官職に任じられました。
冨家文書には中世文書が数多く含まれており、島根県史編纂の際に影写されたものが島根県立図書館に保存され、従来から利用されていました。
原本は島根県古代文化センターや山口県の毛利博物館などいくつかに分かれて所蔵されています。
島根県立図書館でも尼子晴久、義久、勝久や毛利元就の書簡8通の原本を所蔵しています。
今回は冨家文書の中の、尼子晴久、義久、勝久の書簡を展示しています。

参考文献
「大社町史 史料編」大社町刊
「冨家文書」島根県古代文化センター編刊

郷土資料ミニ展示コーナー No.12

河井寛次郎関係資料

陶芸家の河井寛次郎は、1890年(明治23年)8月に安来に生まれ、今年はちょうど生誕120年にあたります。
今回は県立図書館で所蔵している河井寛次郎に関する貴重資料を展示しています。

「河井寛次郎書簡」1月31日付 武内潔眞宛

武内潔眞は初代大原美術館館長を務め、柳宗悦の民芸運動に協力し、河井寛次郎とも親交があった人物です。

「河井寛次郎の人と仕事」

柳宗悦/著 鶴文庫 昭和24年発行
柳宗悦によって出版された、限定150部発行の内の1冊。

郷土資料ミニ展示コーナー No.11

松江藩 桃家文書

桃家は松江藩6代藩主宗衍の時、桃白鹿が登用され藩校を設立し、以来代々藩儒を勤めた家です。
桃家文書には、各代の藩主年譜や藩校勤務日記、藩校で使用した教科書、漢籍類、桃家関連資料などがあります。
今回は、この桃家文書から桃好裕(節山)が記した「出雲私史」を展示しています。

「出雲私史」12冊 桃好裕未定稿 

出雲国の歴史を漢文で年代順に叙述したもので、出雲の歴史を完述した唯一の全史。日本外記にならって、佐々木氏から松平氏までを氏別に編集している。

桃好裕(節山) 

天保3年(1832)~明治8年(1875)
嘉永元年(1848)に桃世文の養子となる。名を好裕、通称を文之助、号を節山または脩斎と称した。
田村寧我や雨森精翁に学び、安政元年(1854)江戸に上って昌平黌で学んだ。
帰藩して文久2年(1862)に文武館を起こし、これが後に修道館と改名される。
「出雲私史」「藩祖御事蹟」等の著作がある。

「出雲私史」上・中・下 明治25年(1892) 桃好裕 博廣社

好裕の没後、未刊行だった「出雲私史」を明治25年に三冊本として出版したもの。

「和譯出雲私史」大正3年(1914) 谷口為次編 松陽新報社

漢文で書かれていた「出雲私史」を和訳して書き下し文にし、難読の語句には読み仮名をつけたもの。
昭和47年に島根郷土資料刊行会から復刻版が出版されている。

参考文献:「島根県歴史人物事典」
     「島根県関係図書解説」
     「山陰の古書」